衛星放送まめちしき

衛星放送まめちしき

テレビの番組表が視聴者に届くまで

 かつてはテレビの番組表を調べるのに新聞や雑誌のテレビ欄を見るのが普通でしたが、2000年12月、BS放送が地上放送に先駆けてデジタル化され、番組表の情報をデータとして放送波(映像・音声・データ放送)に多重できるようになり、リモコンの番組表ボタンを押すだけでテレビ画面に番組表が表示されるのが当たり前となりました。この放送波に多重された番組タイトルや放送予定時刻などの番組配列情報をSI(Service Information)と呼んでおり、各家庭のテレビではこのSIを受信して番組表の画面を作成しています。

 SIの配信方法について、地上放送とBS放送で仕組みが違うのをご存じでしょうか。まず地上放送ですが、各放送局が自局のSIを自局の放送波に多重して配信しています。この配信の仕方を各局SI方式と呼んでいます。この方式は、見ているチャンネルの番組表の情報を多く受けとることができ、番組編成が急に変更になった場合(スポーツ番組の延長対応など)でも素早く番組表に反映され、常に最新の情報が表示されますが、見ていない他チャンネルの情報は古いままとなっている場合があります。これに対してBS 放送では、全ての放送局からのSIを一旦集約し、集約したSIを全ての放送局に配信することで、各放送局は全局のSIを自らの放送波に多重して放送することができます。このような仕組みにより、どのチャンネルを見ていてもBS放送すべての番組表が最新の状態で見られるようになります。これを全局SI集配信方式と呼んでいます。

 この全局SI集配信方式を実現するシステムは、各放送局内に設置される「SIクライアント設備」と、B-SAT社内に設置される「SIセンター設備」で構成されます。B-SATでは、SIクライアントから送られてきた各放送局のSIをSIセンターで集約・合成し、全局分のSIを各放送局のSIクライアントに配信しています。この複雑なシステムを24時間365日運用するため、私たちはシステムの状態を常に監視し、定期的に点検を行っています。

 なお、SIセンター設備だけでなくSIクライアント設備もB-SATで管理しているため、定期的に各放送局へ出向いて点検を行っています。全ての放送局と密に連絡を取ったり出向いたりするのは、全局SI集配信方式のシステムを管理するB-SATならではのことなのかもしれません。

   2000年に開始したBS放送は、放送局の新規参入を重ね、今年3月のWOWOW 4K開局を加えると計39番組に増えて活気づいています。一方、全局SI集配信方式は、家庭のテレビが正しく動くようSIの総量を制限し、各放送局はその割り当てを守って運用しなければなりません。番組数が増えれば増えるほど割り当ての調整や変更対応などが大変になるのですが、視聴者の利便性を第一に考え、各放送局と団結して取り組んでいます。

 BS放送が20周年を迎え、2000年当時とは比較にならないほどテレビの機能が年々向上しており、他局のSIをテレビ側で電源オフ中に収集したり視聴中に裏チューナーで収集したり出来るようになっています。このような背景から、BS放送のうち2018年12月に放送を開始した4K8K衛星放送は、実は全局SI集配信方式を行っておらず、地上放送と同じ各局SI方式を採用しています。

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