ABU(Asia-Pacific Broadcasting Union:アジア太平洋放送連合)は、アジア
太平洋地域の放送業界発展のため設立された団体で、そのメンバーは69か国、
279機関、域内の人口は約35億人に及びます。
第53回総会の開催地はインドネシアのバリ島。『Media For The Future』を
テーマに掲げ、地球温暖化や貧富の格差といった地域を超えた課題に対して、
メディアはいかに貢献できるかが議論されました。
バリ島と言えば伝統文化に根差した音楽や舞踏が有名ですが、
今回のABU総会の中でも、その独特のカルチャーに根差した
ユニークなイベントがありました。
アジアの優れた番組を表彰する『ABU賞授賞式』の中で、
下の写真のような竹製の楽器、“アンクルン”が会場全体に配られました。
竹の棒を組み合わせただけのとても楽器とは思えない品物ですが、不思議な
ことに左右に振ると、その楽器ごとに割り振られた、異なる音階を奏でることが
できます。アジアや欧米、世界各地から参集した様々な文化的背景を持つ
人々が、指揮に従って音を鳴らすことでハーモニー(調和)が生まれ、
音楽となる。まさに多様(ダイバーシティ)な世界の融和という総会のテーマを
象徴し、体感する演出であったと感心した次第です。
(N.I)