地球は自転軸が公転面に対して傾いているため地球と太陽の位置関係によって至点・分点と呼ばれる瞬間が発生します。分点とは赤道と黄道注が交差する点であり、太陽が分点を通過する日を春分・秋分と呼んでいます。また、分点から90度太陽の周囲を回った点を至点といいます。静止衛星は分点・至点を境に季節によって太陽電池パネルによる電力が変化します。これは衛星に搭載されている太陽電池パネルの傾きが関係しています。分点付近の期間は衛星の太陽電池パネルが太陽光を垂直に近い角度で受けられるため発電量が多くなり、逆に至点付近では太陽光の入射角が分点付近に比べ大きくなるため発電量も低下します。因みに、地球は太陽の回りを楕円軌道で回っており、冬至より夏至の方が太陽からの距離が遠くなるため、発電量も夏至の方が低くなります。
さらに春分・秋分を中心とした約6週間は、1日の中での変化が大きくなります。これは太陽、地球、衛星がほぼ一直線に並び、衛星が地球の影に入ることによって発生するもので、“食”と呼ばれる期間になります。
衛星は1日で地球の周りを約1周するため、食期間中は衛星が地球の影に入ってしまう時間が、毎日数分から最大1時間以上発生します。衛星が地球の影に入ると、太陽電池パネルによる発電量が低下し、完全にさえぎられると太陽電池パネルから衛星に電力供給ができなくなってしまいます。太陽電池パネルから電力供給できない場合、バッテリーのみで衛星を稼働させる必要があるため、その間、衛星搭載機器を安定的に運用できる容量のバッテリーを搭載しています。食期間の予測については、過去に[衛星の食とタマゴ]というまめ知識を投稿していますので、合わせてご覧ください。
注:赤道と黄道とは
ここでの赤道とは天の赤道のことを指します。天の赤道とは地球の赤道面を天球(地球から見える天体の方向を表すための距離無限大の地球を中心とした仮想の球)まで延長した円です。また黄道とは天球上における太陽の軌跡です。天球上において天の赤道と黄道が交わる点を分点と呼び、太陽と赤道面との距離が最大となる点を至点と呼びます。