衛星管制センターの概要
川口衛星管制センター(主局)と君津衛星管制所(副局)で放送衛星の管制を行っています。
管制センターでは、衛星から送信されるテレメトリー信号(衛星の状態)を受信して衛星の状態を監視しています。くわえてコマンド信号(衛星への指令信号)といわれる制御信号を送信して衛星を制御してBS放送の電波が各家庭に安定・確実に届くようにしています。 このために管制センターにはパラボラアンテナ・送受信機・管制用計算機システムが各衛星ごとに整備されており365日24時間、有人で衛星の監視と制御にあたっています。テレメトリー信号、コマンド信号はBS放送と異なる専用の電波を使用しています。
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川口衛星管制センター(主局)
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君津衛星管制所(副局)
衛星管制センターの業務
衛星の軌道制御・姿勢制御
東経110度、赤道上空3万6千kmの位置から外れることのないよう衛星の位置を制御しています。
B-SATでは世界でも数少ない長期にわたる同一軌道複数衛星の衛星管制運用実績を有しています。東経110度の同一軌道に複数の衛星を配置した場合でも衝突が回避されるよう衛星の位置を厳密に管理しています。
衛星に搭載されたBS放送用アンテナが日本に向くよう衛星の姿勢を制御しています。
衛星の健康管理
衛星から常時送られてくるテレメトリー信号により衛星の状態を24時間監視しています。
テレメトリー信号はBS放送を支えている中継器の状態、衛星姿勢の状態、太陽電池パネルの発生電力、各搭載機器の温度情報などが送られてきます。
そのテレメトリー信号の常時監視の他に、週間、月間、年間、複数年にわたる長期的変化を解析して衛星の健康状態をチェックしています。
必要があれば衛星が持っている、パラメータ(ある動作を行うための情報)を変更するためのコマンド信号を送信してベストな状態を維持する作業も行っています。
食期間の衛星運用
春分・秋分の頃に衛星が地球の影になる時間(食)が発生します。この期間(各6週間)の深夜には衛星の温度が低下したり、放送を維持するためのバッテリーが放電するため、衛星搭載機器の温度を適正に維持する制御やバッテリーの充電管理を行っています。
緊急時対策
衛星障害によるBS放送の影響を最小化するための衛星シミュレータを使用した訓練を定期的に実施しています。
震災時においても運用を可能とするため、予備の自家用発電機設備を整備し、あわせて長時間の運用に耐えるようにしています。
大規模災害発生時に、君津衛星管制所に管制要員を送り込んで運用ができるよう、非常用宿泊施設を設置しました。また現地へ駆けつけるために悪路や交通規制時にも走行可能な緊急対応車両を配備しています。
静止衛星軌道上のスペースデブリ(宇宙ゴミ)が増加しているため、衛星に接近衝突する可能性を把握して、衝突回避のための軌道制御を行う体制を整備しています。